読書⇆思考の輪廻

何はともあれ。

【詩作vol.2 】「新緑の季節に立ち止まって」

新緑の匂い漂う街に 私はふと立ち止まる 心が洗われるような感覚に 胸が震える

枝先に吹く風を感じながら 小鳥のさえずりに耳を澄ませる 何かを探しているような私に 自然が語りかけているようだ

緑に覆われた世界は 生命の息吹を感じさせる 変わることのない季節の中で 私たちは生きてゆく

新緑の季節には 新たな気持ちや希望が生まれる 草木も芽吹き始めるこの季節に 私たちも一歩踏み出してみよう

 

【オーディオブックのAudible】

本は聴く時代。  amzn.to/3pn4Bl5

 

 

【詩作vol.1 】「5月のユウウツ」

五月の風に揺れる サラリーマンの背広 やる気もなくただただ 生きる疲れを抱え

桜散る季節に 心もざわめく五月 どこか遠くへ行きたい 逃げ出したいと思う

だがそこには現実がある 職場には出勤しなければならぬ 五月病と呼ばれる病にかかり ただただうつろう日々に

酒に逃げたり愚痴をこぼしたり 嫌な上司に八つ当たりしたり それでも生きていかなければならぬ 五月病はいつか過ぎ去るだろうか

 

 

【要約と感想】戦争と平和/トルストイ

 レフ・トルストイの小説『戦争と平和』は、19世紀初頭のロシア帝国を描いた歴史的な大河小説であり、長期間にわたるナポレオン戦争の影響を受けたロシアの貴族階級と市民階級の様子が描かれています。トルストイは、この小説を通じて、人間の本性、社会の不正、そして戦争の破壊力を描き出しています。

 物語の中心人物は、美しく高潔な貴族娘のナターシャ・ロストワと、彼女を愛するアンドレイ・ブルゴーニン、そして彼女を仲介するピエール・ベズホフという三人です。彼らの物語を通して、人間の生と死、戦争と平和、愛と友情など、様々なテーマが描かれています。

 物語は、ナポレオンの進軍によりロシア帝国が戦争に巻き込まれるところから始まります。アンドレイは戦争に志願し、辛酸を舐めながらも戦場で勇敢に戦います。一方、ナターシャは、アンドレイと親交のある一族のもとで過ごしていましたが、やがてピエールと出会い、彼の優しさに惹かれていきます。

 やがて、ナポレオン軍がモスクワに侵攻し、街は大火災に見舞われます。戦争に疲れきったアンドレイは重傷を負い、死の淵に立たされます。ナターシャはアンドレイを看病するうちに、深い愛情を抱くようになりますが、彼はやがて息を引き取ってしまいます。

 戦争が終わり、平和が戻ってきた後、ナターシャは再びピエールと出会い、彼と結ばれます。物語の終盤で、ピエールは哲学的な考えに目覚め、自分自身や社会に対する見方を変えていきます。

 トルストイは、戦争の破壊力と人間の本性について深い洞察力を持っています。彼は、戦争によって人々が犠牲になること、人々が他者を殺すことによって、自らも精神的に深い傷を負うことを強調しています。また、トルストイは、人間は常に不完全であることを指摘しており、自己欺瞞に陥り、自分自身を見失い、他者を犠牲にすることがあると述べています。

 『戦争と平和』は、トルストイが世界中の人々に向けて発信した平和のメッセージでもあります。彼は、人間は互いに協力し合って生きるべきであり、国家や政治的な陣営にとらわれず、人間が互いに敬意を持ち合うことが必要であると主張しています。彼はまた、人生の真の価値が、戦争や社会的地位ではなく、個人が自分の内面に向き合い、自己超越を図ることにあることを強調しています。

 以上のように、『戦争と平和』は、戦争の破壊力と人間の本性、社会の不正、平和の必要性についてのトルストイの洞察力を凝縮した作品であり、人々に向けた平和のメッセージでもあります。

 

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【要約と感想】マクベス/シェイクスピア

 シェイクスピアの『マクベス』は、スコットランド王国を舞台に、主人公マクベスが野心に溺れて王座を手にするが、その後の精神的な苦悩と、自分の犯した罪によって周囲を巻き込んでしまう悲劇を描いた作品である。

 

 物語は、ウィッチたちに出会ったマクベスが、自分がスコットランド王になるという予言を聞いて以降、野心に駆られるようになるところから始まる。彼は妻レディ・マクベスの助言を受け、王殺しを決意し、実行に移す。しかし、その後の彼の人生は、予想外の展開を迎えることになる。彼は、自分がしたことによって、周囲の人々の信頼を失い、幻覚に悩まされるようになる。そして、彼の苦悩は、最終的には彼自身と、彼を取り巻く全ての人々の死につながっていく。

 

 『マクベス』は、スコットランド王国の歴史に基づいているが、シェイクスピアは歴史的な事実に忠実であるよりも、人間の欲望や苦悩、罪悪感などの心理描写に力を注いでいる。マクベス心理的変化が、彼が取る行動や、彼を取り巻く人々の運命を決定づける。特に、彼の妻レディ・マクベスは、彼の野心を煽り、王殺しを実行するために積極的に行動するが、後に自分自身を苦しめることになる。

 

 シェイクスピアは、『マクベス』において、人間の欲望や苦悩、罪悪感などを非常にリアルに描写している。マクベスの野心や苦悩、レディ・マクベス心理的変化、その他の登場人物たちの行動は、現代の読者にも共感を呼び起こす。また、彼の言葉遣いや文体は、詩的で美しい。

 

 

 後半戦では、マクベスは絶望的な状況に陥る。彼の欲望は、彼自身や彼の家族、そして彼の国を滅ぼすことになる。マクベスは、最後には自分自身の罪悪感や恐怖に苦しむことになる。彼は自分自身の手でダンカン王を殺したことについて後悔し、ハンコックに対する怨恨にも苦しむ。彼は幻覚を見たり、悪夢にうなされたりしている。そして、彼は最後に自分自身を追い詰めるために、マクダフの家族を殺すという悪逆非道な行為に及ぶ。

 

 結局、マクベスは戦いでマクダフと対決し、彼の最期は悲惨なものとなる。彼は自分が得た権力を失い、愛する人々を失い、そして自分自身を失ってしまったのである。

 

 感想としては、マクベスは欲望や野心が人間をどのように狂わせるかを示した壮大な悲劇であると言える。シェイクスピアは、人間の弱さや欲望がどのように自己破滅を招くかを見事に描き出している。また、戦争や暴力の中で人間性を失ってしまうことを警告している。マクベスの物語は、今日でも現代社会においても深い共感を呼ぶものであり、その持つ深い人間性を備えたストーリーが、世界中の人々に愛される理由とも言える。

 

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【要約と感想】ツァラトゥストラはこう語った/ニーチェ

 フリードリヒ・ニーチェは、その哲学的著作において、多くの思想を提唱してきました。その中でも、『ツァラトゥストラはこう語った』は、彼の最も有名な作品の一つです。この作品は、ギリシャ神話に登場するゼウス神と同じく、人々に道徳的・精神的な指導をする「超人」を提唱し、人間が自己実現に向かって成長することを促すことを目的としています。

 

 『ツァラトゥストラはこう語った』の中心的なテーマは「超人」であり、この作品は、ニーチェが提唱する「超人」とは、人間が今までの自分自身を超え、自己実現に向かって成長することを指します。超人は、従来の道徳や価値観を超え、新しい価値観を創造することができるとされています。

 

 超人という概念は、ニーチェの哲学の中心に位置しています。彼は、この概念を通して、人間が自己実現に向かって成長することを促し、従来の価値観や道徳にとらわれず、自由に生きることができるようになることを目指しました。

 

 また、『ツァラトゥストラはこう語った』では、「永劫回帰」という概念が取り上げられています。この概念は、過去の出来事が繰り返されるというものであり、すべての出来事が繰り返されるとされています。ニーチェは、この永劫回帰を肯定し、それを人間が自己実現に向かって生きるためのヒントとして提示しています。

 

 ニーチェは、人間が自己実現に向かって成長するためには、自己変革が必要だと考えていました。自己変革とは、自分自身を超えるために、自分自身を犠牲にすることだとされています。『ツァラトゥストラはこう語った』では、超人が自分自身を犠牲にすることを通して、新しい価値観を創造することができるとされています。

 

 具体的には、ツァラトゥストラは「意志の力」を重視しています。彼は、意志が弱い人間は限界に達し、進化ができないと主張しました。そのため、彼は自己克服や自己変革を重視し、自己実現のためには強い意志力が必要だと訴えました。

 

 ニーチェは、この本を通じて、人間が自己克服や自己変革を通じて超越し、より高次元の存在になることができる可能性があることを示唆しています。また、彼の哲学は、意志の力や永劫回帰などの概念が、人間の生きる道を指し示すことを主張しています。

 

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ツァラトゥストラは こう言った 上 (岩波文庫)

超訳 ニーチェの言葉 エッセンシャル版 (ディスカヴァークラシック文庫シリーズ)

ニーチェ 勇気の言葉