読書⇆思考の輪廻

何はともあれ。

【読書感想】第三次世界大戦はもう始まっている(仏:エマニュエル・トッド著)

 エマニュエル・トッド氏のウクライナ・ロシア情勢の歴史学者からの視点と見解に最近注目している。あくまで諸々の倫理的や道徳的な側面を除いて歴史学者からの広範囲な物の見方ではあるがかなりの部分でロシア寄りの意見が多く、フランス人のトッド氏はおそらく米国嫌いでもあるのだろう。


確かに、世界中で戦争に関与している部分やNATOの東方拡大に見られる過去の歴史と約束を反故にするやり方は頂けない側面も多い。しかし、だからと言って今回の戦争に限っていえば、スイッチを押したのはプーチンであることも忘れてはならない。(押させたのは米国かもしれないが、実際に押したのはプーチンなのである)


この決定的な事実について本文ではほとんど述べてないという点においては、全てを納得できるという著作ではないが、民主主義陣営としてどうしても米国、西洋偏重になっている側面をある程度 公平に、冷静に考えるには役立つ本であると思う。


双方あれだけの人数がウクライナで亡くなっている現状と、背景も踏まえた対立構図を見れば確かにタイトルの通り、欧州発端の『第三次世界大戦』がもう始まってしまったと言っても過言ではない。あとは始まってしまった以上は終戦のスイッチを誰がいつどのような形で押してくれるのかという事に限る。


本書曰く、ウクライナは3つのエリアに分かれ、西エリアはポーランド系、中央エリアは純ウクライナ人、東エリアはロシア系の住民が多く、日本ではなかなか想像がつかない国です。(強いて言うなら、日本人と韓国人と中国人が一つの国を共存していると言うイメージでしょうか)

 

国の歴史も1991年にソ連が崩壊後に独立した比較的新しい国ですが、国土面積は日本の約1.6倍で人口は4500万人とそれなりに大国です。欧州ともロシアとも経済的な結びつきが強く、非常に複雑な国であることは容易に理解できますが、英知を持って戦争を止めなければならない。