読書⇆思考の輪廻

何はともあれ。

【要約と感想】戦争と平和/トルストイ

 レフ・トルストイの小説『戦争と平和』は、19世紀初頭のロシア帝国を描いた歴史的な大河小説であり、長期間にわたるナポレオン戦争の影響を受けたロシアの貴族階級と市民階級の様子が描かれています。トルストイは、この小説を通じて、人間の本性、社会の不正、そして戦争の破壊力を描き出しています。

 物語の中心人物は、美しく高潔な貴族娘のナターシャ・ロストワと、彼女を愛するアンドレイ・ブルゴーニン、そして彼女を仲介するピエール・ベズホフという三人です。彼らの物語を通して、人間の生と死、戦争と平和、愛と友情など、様々なテーマが描かれています。

 物語は、ナポレオンの進軍によりロシア帝国が戦争に巻き込まれるところから始まります。アンドレイは戦争に志願し、辛酸を舐めながらも戦場で勇敢に戦います。一方、ナターシャは、アンドレイと親交のある一族のもとで過ごしていましたが、やがてピエールと出会い、彼の優しさに惹かれていきます。

 やがて、ナポレオン軍がモスクワに侵攻し、街は大火災に見舞われます。戦争に疲れきったアンドレイは重傷を負い、死の淵に立たされます。ナターシャはアンドレイを看病するうちに、深い愛情を抱くようになりますが、彼はやがて息を引き取ってしまいます。

 戦争が終わり、平和が戻ってきた後、ナターシャは再びピエールと出会い、彼と結ばれます。物語の終盤で、ピエールは哲学的な考えに目覚め、自分自身や社会に対する見方を変えていきます。

 トルストイは、戦争の破壊力と人間の本性について深い洞察力を持っています。彼は、戦争によって人々が犠牲になること、人々が他者を殺すことによって、自らも精神的に深い傷を負うことを強調しています。また、トルストイは、人間は常に不完全であることを指摘しており、自己欺瞞に陥り、自分自身を見失い、他者を犠牲にすることがあると述べています。

 『戦争と平和』は、トルストイが世界中の人々に向けて発信した平和のメッセージでもあります。彼は、人間は互いに協力し合って生きるべきであり、国家や政治的な陣営にとらわれず、人間が互いに敬意を持ち合うことが必要であると主張しています。彼はまた、人生の真の価値が、戦争や社会的地位ではなく、個人が自分の内面に向き合い、自己超越を図ることにあることを強調しています。

 以上のように、『戦争と平和』は、戦争の破壊力と人間の本性、社会の不正、平和の必要性についてのトルストイの洞察力を凝縮した作品であり、人々に向けた平和のメッセージでもあります。

 

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